平成24年度の課題図書は。。。!

さてさて、7月に入りました。
そろそろ青少年読書感想文全国コンクールの2012年度課題図書展示をしようかしら、と思っているところです。
前職場では感想文を書かせていなかったので、初めて課題図書に触れることになりました。


生徒だった時は、課題図書は押しつけがましくて好きではありませんでした。
だって、本は読みたいから読むもので、人から薦められたくなかったのです。
きっと説教臭いに違いないわ!と、思い込んでいましたが、大人になってからは違う印象を持ちました。


どちらかというと、大人が「子供の時に読みたかった本」なのかなあ、と。
大人は子供よりも経験とかが多いから、本を読むと勝手に深読みしてしまいます。
そんで、子供を見守る大人に弱いです。
こんな人に守られたいなあ、とか、思っているに違いないのです。
あとは、あらためて子供の気持ちに戻って、現実の課題を解決したいと思っているのだと思います。


なぜなら私がそうだから・・・!!!!
焦っていた気持ちが慰められました。


気を取り直して、今年の課題図書です。


まずは中学生向けから。
怪物はささやく』パトリック・ネス あすなろ書房 1,680円
生きること、死ぬことは、当たり前なのに、辛い!
人間だからしかたないよ、とは言えなかったし、言いたくなかったんだね。
ことさらに悲しみだけ見つめなくてもよい。共に死ぬまで生きよう。
13才の少年である、コナー・オマリーのもとに、イチイの木の怪物がやってきて、3つの物語を話して聞かせよう、という。そして、おまえが4つめの物語を話せ、というのだ。
本の作りが変わっていて、絵本のように様々なページに挿絵が入っている。
気味の悪い怪物が出てきて、ファンタジーのような、現実のような感じ。
男の子が主人公だけれど、女の子が読んでも全く違和感がないので、そこは心配しなくとも大丈夫。
すくなくとも、湿っぽい話でも、説教臭い話でもないです。


『地をはう風のように』高橋秀雄 福音館書店 1,575円
舞台は昭和30年代、栃木県の農村。父を亡くし、母は出稼ぎへ行く。祖母、弟と暮らす小学6年生のコウゾウが、貧しさに負けまいと歯を食いしばり、たくましく生きる姿を描く物語。
どうしても、昔の話だとつまんない気がしていた子供時代。説教臭いんだよね。涙もろいというか。
でも意外と良いです。


『地球の声に耳をすませて』 大木聖子 くもん出版 1,470円
”大地の声に耳をかたむけ”る地震学者が、地震の正体から、地震津波の発生原因、巨大地震によって引きおこされる現象、命を守るために人々ができることまでを解説する。
これはやっぱり、震災があったからなのでしょう。
1年半経ちますが、東北以外では、震災の影が薄くなっているのを感じます。
怖かった記憶も、これからの地震対策も、忘れ去られているかのような錯覚を覚えます。



次は高校生向け。
『オン・ザ・ライン』朽木洋 小学館 1,575円
男の子が主人公。脳ミソ筋肉の内側に読書中毒を隠し持ってる。
友人はイケメン文武両道で、幼なじみは華のある美女に大和撫子な彼女。そりゃコンプレックス持つなってほうが無理だと思う。
若気のいたりがふんだんにまぶされていて、青春を感じることができた。
テニス用語がたくさん出てきて、好きな人はもっと楽しめると思う。
筋肉じゃない話も多い。
体育会系だが活字中毒の少年侃は、仲よくなった友だちに誘われてテニス部に入ることになった。テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつまでも続くように思えたが…。少年たちのあつい友情、そして、明日への希望の物語。
と書くとやっぱり女の子が困るかもしれない。実際男の子の内面ばかりが書かれている。
でも、おバカなことをやったことがある女の子なら大丈夫。しかも、それだけじゃなくて、内面についても書いているから、いずれにせよ大丈夫。
ただ、かなり色んなことが読めるので、感想文を書く時には、テーマがぶれないように気をつけた方がいいかも。


ダーウィンと出会った夏』ジャクリーン・ケリー ほるぷ出版 1,575円
少女が、科学的なものの見方を知る瞬間が見られる。
漠然とした興味のなかにちりばめられたさまざまな種が芽吹いてゆく姿をみるのは快い。
ものを観察し、仮説をたて実験を試み、結論を導き、それが正しいか確かめることに注意深い12歳の少女なんているかしら?
この見方を祖父から与えられてから、兄弟や親、さらに自分についても観察ができるようになり、成長が加速していく。
なんとかして好奇心と共に生きられないものか?
しかし図書館的にすまんかった、と思う。¨道徳的¨であることが優先された図書館というのも考えものだ。

1899年、新世紀を目前にしたテキサスの田舎町。
11歳のキャルパーニアは、変わり者のおじいちゃんの「共同研究者」となり、実験や観察をかさねるうち、しだいに科学のおもしろさにひかれていくが…。
これは正真正銘女の子が主人公。”女の子”的な女の子ではないので安心して欲しい。
でも、気が強い、わけではないけれど、なんとなく浮いてしまっているかも。
自分の好きなテーマで書けそう。


『パスタでたどるイタリア史』池上俊一 岩波書店 1,029円

「パスタを食べることでイタリア人はイタリア人であることを自覚する」―。
古代ローマのパスタの原型から、アラブ人が伝えた乾燥パスタ、大航海時代の舶来種トマト、国家統一に一役買った料理書まで、イタリアの歴史を知ることができる。
パスタの歴史。これで読書感想文を書くのか…?とびっくり。
物語は苦手でも、食べることが好きで、あとは世界史が好きならちょうどよいのではないか。
ただ、すべてにパスタが絡むので、パスタに興味がないと厳しい。


というかんじなのが、今年の課題図書です。
高校生向けのほうがテーマが盛りだくさんなので、大変かしら、と思う反面、自分の気になるテーマを掘り下げやすいので、意外と書きやすいのかもしれません。



ここを見ている感想文を書く予定のみなさんに伝えたいこと
先生方は別に、突飛で、あなたにしか書けない感想文を待っているわけではありません。
だって本は本だし、みんなが体験していることだって、そうそう変わりません。


自分の気持ちを書いて、というのは”他の誰にも書けない”とか、”だれのとも似ていない”とかそういう意味ではなくて、”自分の言葉で”、ということを強調しているだけです。
言葉なんて同じじゃないか、だれが書いても一緒、と思うかもしれませんが、どんな文章にも自分の心が表れます。
その人なりの書き方や、書きグセ、表現の仕方があります。
もちろん表現に詰まったら、表現辞典などで、自分にぴったりの気持ちの書き方を調べていいと思います。
丁寧に、わけが分かるように、ありがちでもいいから、自分の書き方で書いてくれればそれで大丈夫です。
そんなに心配しなくてもよいですよ。
あとは、習ったであろう(忘れちゃったら調べればよいです)作文用紙の書き方や、書き方の順番だけ守るとよいです。


心配になったら、自分の気持ちを掘り下げましょう。
面白い
 →どこが?
 →なんでそう思ったと思う?
  →自分の体験から?
  →自分がその立場だったら?
などなど、矢印をつけるだけでいろいろ考えることができますよ。
だいじょうぶです。


めんどくさいですって?おとなになったら、こればっかりですよ♡ウヒヒヒヒ。。。。!
だいじょうぶ、書ける本がみつかったら意外と楽しくなりますから!